たけじんの趣味雑記

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第3回 リオネッタと学ぶお嬢様英会話

リオネッタの心境やいかに

リオネッタと学ぶお嬢様英会話教室、第3回でございます。


記事の趣旨は初回に載ってますのでそちらをご参照ください。

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それでは今回も解説していきましょう。
第3回のセリフはリオネッタが抱える事情が見えてきますな。

リオネッタ「強引なやり方は気に入らないですけれど。まあ『魔法の国』のやることでしたら致し方ないですわね。面白そうですし、引き受けますわ」


英語だとこうなります。

Rionetta「I don`t appreciate such forceful measures,」said the doll girl,「but if it`s the Magical Kingdom`s work, then I suppose there`s nothing to be done. It seems intersting, at least, so I shall accept」



ここ好きな台詞なんですよね。リオネッタの現状を考えると至極当然な理不尽を強要される方法に反発を覚えているのが凄くリオネッタらしさが出てるなーと思うんです。ただそうは言っても報酬に惹かれているのも事実で、致し方ないというのは建前ですね。


所見をまずやっていきましょう。
先に述べた通り「I don't~」の否定形で始まる文は「強引な~」でしょう。続く形で「まあ~」で一旦否定する形を「but~」で表現するのもなるほどという感じです。最後の「面白そう」というのも「intersting」があるので分かりやすいです。
台詞自体は長いですが一文そのものは短く意外と分かりやすそうな感じがしますね。ありがたいです。

英語版では途中で"said the doll girl,"の一文が挿入されています。原文では直前の言葉を「~ですけれど」と終助詞で切っているので、英文でも","コンマで区切っているのでしょう。直前の「~measures,」と後ろの「but~」を繋げても意味的に変わらないと思いますが一応。


さて「」で分解してみましょう。

そうするとこうなります。

Rionetta「I don`t appreciate 」「such forceful measures,」「but if it`s the Magical Kingdom`s work,」「then I suppose there`s nothing to be done. 」「It seems intersting,at least,」「 so I shall accept」

では一つずつ見ていきましょうか。


「I don`t appreciate」

"I don't"で否定形になります。"appreciate "の意味は"感謝する""評価する"ですが、否定文で口語的な表現である"気に入らない"となるようです。

「(否定文で)気に入らない」

この意味での "appreciate" は辞書には載っていない口語的な表現です。 「感謝する」の意味の "appreciate" が否定文で「感謝しない」という意味で使われていたのが「感謝しない → ありがたくない → 気に入らない、気に食わない」というふうに意味が変わってきたのでしょう。

"appreciate" の6つの意味 | この英語の意味なに?


「such forceful measures,」

さて上述した「気に入らない」ですが、何が気に入らないのか。ここの文で明確になります。
前置詞"such""そのような"。続く" forceful measures,""forceful ""強引な""強硬的な"という意味で、"measures"は名詞の複数形で"方法""手法""手段"となります。
訳としては「このような強硬手段」、上記の訳と合わせて考えると原文まま「強引なやり方は気に入らないですけれど」が相応しいでしょうか。
次の文の"but"が本来こちら側に含まれ終助詞の代わりをしている、と考えると齟齬が無い訳となりそうです。


「but if it`s the Magical Kingdom`s work,」

最初の"but"は無視してIF構文として訳していきましょう。"If~,then~""もし~ならばその時は~"といった風に仮定を強調する文法のようです。
原文でいうところの最初の"まあ"の意を汲んでいるのだと思います。ここも前回と同じように日本語のニュアンスを文法で表現する形になっていて、個人的にいいなと感じるポイントです。

"it`s""これは~だ"。固有名詞なので定冠詞"the"が付いて "Magical Kingdom`s work,""魔法の国の仕事"と訳せますね。"work"は多くの意味を持っているのでここは意訳で"仕業"としましょう。

「これがもし『魔法の国』の仕業ならば~」で後半へ続きます。



「then I suppose there`s nothing to be done. 」

"then"で"if"を受けて"その時は"。
"suppose"は"think"と同じように"~だと思う"という訳ですが、推定を述べる時に使います。使い方も同じように直後の文を受けて"私は~だろうと(そう)思います"となります。
次に"There is nothing to be done"ですが似ている例文がありました。

https://ejje.weblio.jp/content/There+is+a+thing+to+be+done.

"There is a thing to be done""しなければならないことがある"とありますが、"nothing"になることで否定系となり"しなければならないことはない"。簡単にして"するべきことはない"となります。

二つ合わせて「その時私にするべきことはないでしょう」といった感じですね。


では一文に直してリオネッタ風に意訳するならば「『魔法の国』のせいならどうしようもありませんわ」でしょうか。

原文では「致し方ない」と諦めのニュアンスなのですが、英語でははっきりすることが無いと言い切っていますね。『魔法の国』の仕業である仮定を強調しているのと、一つ前の気に入らないという言葉から、逆説的に『魔法の国』以外のせいならある種反抗的な行動をしていた、とも捉えることも可能でいいですね。
英語だとストレートな物言いになるリオネッタが好き……


「It seems intersting , at least,」

"It seems""~だそうだ。""興味深い""面白い"の意味を持つ"interesting"と、最低限の程度を表す"at least"が付くことで「少しは面白そうなので、」となります。


「so I shall accept」

後半、"so"は前半の文を繋ぐ接続詞の役割を持ちます。意味としては結論"だから""なので"と訳しますが省略してもよいですね。
"I accept"だけでも"私は受け入れる"となりますが"意思""決意"を表す助動詞"shall"が付くことでそれを更に強調する形になります。
格式張った言い方なようで、調べてみると最高情報が分かりました。


https://eikaiwa.weblio.jp/column/study/english_study_skills/shall-meanings

イギリス英語は比較的古風な表現を残しており、shall を用いた表現に接する機会もままありますが、アメリカ英語では「意志」はもっぱら will で表現されます。


https://britisheigo.com/british_word/1042.html

しかしイギリス英語の正式な文法ルールでは一人称(I, We)の場合は「will」ではなく「shall」が正しい使い方になります。

一方アメリカ英語では、どの場合でも「will」が使われます。イギリス英語の場合「shall」を使う方が適切です。


これはもう確定と言っていいですね。前回と前々回に共通するイギリス英語の文法が再び登場しました。
リオネッタが綴るクイーンズイングリッシュ……堪らないです。

意訳して「面白そうですので(だから)お引き受けいたしますわ」でしょうか。

総評


原文 
リオネッタ「強引なやり方は気に入らないですけれど。まあ『魔法の国』のやることでしたら致し方ないですわね。面白そうですし、引き受けますわ」

英語版
Rionetta「I don`t appreciate such forceful measures,」said the doll girl,「but if it`s the Magical Kingdom`s work, then I suppose there`s nothing to be done. It seems intersting, at least, so I shall accept」

意訳
Rionetta「強引なやり方は気に入らないですけれど。『魔法の国』のせいならどうしようもありませんわ。面白そうですのでお引き受けいたしますわ」


全体の意訳としてはこんな感じで締めようと思います。
リオネッタのイギリス英語について二回とも偶然被った可能性も考えていたのですが、"shall"を使った英文が今回も登場したことでより説得力が増した形になりました。

最後の引き受ける言葉で格式高く応えたリオネッタがどんな未来を見ていたのか……
英語版リオネッタのこれからを今後も追っていこうと思います。


それでは、次回もまたよろしくお願いします。